miRNAとは、20~25塩基ほどの長さの一本鎖の短鎖RNAであり、自然界に存在しているものです。miRNA は、他の多くのRNAと異なり、タンパク質として翻訳されずに機能を持つncRNA(ノンコーディングRNA)に分類されます。最新の研究から、miRNAは、ほかの遺伝子タンパク質の発現を調節するという、生命現象において重要な役割を担う事が明らかとなっています。miRNAは、免疫応答、細胞周期制御、代謝、ウイルス複製、幹細胞分化、ヒト発生、成長など、多くの生物学的な過程の中で、不可欠な役割を果たしています。また幾つかのがん細胞においては、このmiRNAによるタンパク質の発現調整が上手くいかず、がんに増殖を促していると報告されており、事実、miRNAの発現また機能はがんや線維症を含む多くの疾患で大きく変化していると言われています。
■miRNAとは
PURMX Therapeuticsは、RNAを標的とするオリゴヌクレオチドを用い、ヒト疾患に関与する経路を標的とすることが、がんを始め、多くの疾患に対する、新規かつ強力な治療方法になるのではないかと考えています。これは広島大学薬学部細胞分子生物学教室田原栄俊 教授とその研究室で見出された新しい知見に基づいており、タンパク質発現を行うmRNA調節を標的とするよう設計されたmiRNAが、遺伝子調節因子として働き、重要な遺伝子の発現制御を行えることが明らかとなっています。
■miRNA医薬
この知見に基づき、PURMX Therapeuticsは、効果的な治療薬がなく、まだ満たされていない医療ニーズが残る幾つかのがんに対し、不全となっているmiRNAを補充すべく設計した、新しいオリゴヌクレオチド型の治療薬の研究開発を開始しました。現在、特にmiRNAが増殖に関与しているがんとして、悪性胸膜中皮腫また術後再発頭頸部がんに焦点を当て、最初の候補であるMIRX002の開発を進めています。
Technology
Platform
Our approach
PURMXは、がんが増殖する複数のパスウェイを同時に抑えることができる新規のモダリティとして、miRNAに注力した研究開発を進めています。
核酸医薬は、これまでの低分子や抗体医薬などのタンパク質の構造にとらわれないモダリティであり、全ての遺伝子に対して適応の可能性がある次世代の治療薬として注目されており、今後大きな市場となることが予想されています。
現在、PURMX Therapeutics が臨床開発を進めているmiRNA(MIRX002/miR-3140-3p)は、miRNAを含む機能性RNAから、small RNA screening platformを用い、細胞老化を指標とする表現系解析から見出されました。このmiRNAは多くのがん細胞に細胞老化また細胞死を誘導します。
広島大学またPURMX Therapeutics は、スクリーニングに用いることのできる多くの機能性RNAを保持しています。またsmall RNA screening platformは、今回、先行する細胞老化/細胞死以外の表現系解析を行い、別の新たな機能性RNAを見出すことも可能だと考えています。
がんに対する新しい作用を示すmiRNAを見出し、また免疫応答、細胞周期制御、代謝、ウイルス複製、幹細胞分化、ヒト発生、成長など、多くの生物学的な過程の中で働くmiRNAの表現系を解析することで、色々な疾患に対する、新しい治療薬候補となりうるmiRNAの探索を進めています。